King Crimson / キング・クリムゾン
バンド紹介
キング・クリムゾン。その名のように、プログレッシブ・ロック界のキングの座に君臨するバンドである。幾度ものメンバー交代と進化を繰り返しつつ、何代ものミュージシャンに渡って影響を与え続けている。
あまりに有名すぎるファースト、「クリムゾンキングの宮殿」から36年が経過した今もなお、「前衛的な」音楽を模索し作り続けているキング・クリムゾンは、まさに「プログレッシブ・ロック」というジャンルの創始者である。
アルバムを経る度にバンドの色がガラリと変わるキング・クリムゾンは、どれが「クリムゾンだ!」っていう確固たる形はないように感じる。ボーカルも何回も変わるし。そこらへんがイエスやELPとは違うところだと思うのだが、やはり奇才ロバート・フリップの作り出す世界観とメロトロンの響きこそ、キング・クリムゾンであると言い切れるのかもしれない。
俺の大学受験期は、毎日21st century schizoid man を聴きながらの勉強であった。雄大かつ繊細、複雑かつ明快、ダークでもあればポップでもある・・・こんな曲を作れるこいつら自身、常人ではなく、「20世紀の精神異常者」たちであったような気がする。
メンバー
King Crimsonのメンバー交代は激しすぎるため、ディスコグラフィーの方にまとめて掲載します。
ディスコグラフィー
In The Court Of The Crimson King [クリムゾン・キングの宮殿](1969)
- Gt.ロバート・フリップ
- Vo.Ba.グレッグ・レイク
- Dr.Vo.マイケル・ジャイルズ
- Mellotron.Key.Reeds.Woodwind.Vibes.Vo.イアン・マクドナルド
In The Wake Of Poseidon [ポセイドンのめざめ](1970)
- Gt.Mellotron.ロバート・フリップ
- Vo.グレッグ・レイク
- Dr.マイケル・ジャイルズ
- Ba.ピーター・ジャイルズ
- Piano.キース・ティペット
- Words.ピーター・シンフィールド
- Sax.Flute.メル・コリンズ
- Vo.(3曲目のみ)ゴードン・ハスケル
Lizard [リザード](1970)
- Gt.Mellotron.Key.ロバート・フリップ
- Vo.Ba.ゴードン・ハスケル
- Dr.アンディ・マッカロック
- Flute.Sax.メル・コリンズ
- Words.ピーター・シンフィールド
- Vo.(Lizardのみ)ジョン・アンダーソン etc...
Islands [アイランド](1971)
- Gt.Mellotron.Key.ロバート・フリップ
- Flute.Sax.メル・コリンズ
- Vo.Ba.ボズ
- Dr.イアン・ウォレス
- Words.Sound&Vision.ピーター・シンフィールド etc...
Earthbound [アースバウンド](1972)←ライブ版
- Gt.ロバート・フリップ
- Vo.Ba.ボズ
- Dr.イアン・ウォレス
- Sax.Mellotron.メル・コリンズ
Larks' Tongues in Aspic [太陽と戦慄](1973)
- Gt.Mellotron.ロバート・フリップ
- Ba.Vo.ジョン・ウェットン
- Dr.ビル・ブラッフォード
- Violin.Viola.デイヴィッド・クロス
- Percussion.ジェイミー・ミュアー
Starless and Bible Black [暗黒の世界](1974)
- Gt.Mellotron.ロバート・フリップ
- Ba.Vo.ジョン・ウェットン
- Dr.ビル・ブラッフォード
- Violin.Viola.デイヴィッド・クロス
Red [レッド](1974)
- Gt.Mellotron.ロバート・フリップ
- Ba.Vo.ジョン・ウェットン
- Dr.ビル・ブラッフォード
- Violin.Viola.デイヴィッド・クロス
- sopranoSax.メル・コリンズ
- altoSax.イアン・マクドナルド etc...
USA [USA](1975)←ライブ版
- Gt.Mellotron.ロバート・フリップ
- Ba.Vo.ジョン・ウェットン
- Dr.ビル・ブラッフォード
- Violin.Viola.デイヴィッド・クロス
- (オーヴァー・ダビングのみ)Violin.Piano.エディ・ジョブソン(→ロキシー・ミュージック)
The Young Persons' Guide To King Crimson(1975)←ベスト版
Discipline [ディシプリン](1981)
Beat [ビート](1982)
Three Of A Perfect Pair [スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー](1984)
- Gt.ロバート・フリップ
- Gt.Vo.エイドリアン・ブリュー
- Dr.ビル・ブラッフォード
- Ba.Stick.トニー・レヴィン
The Compact King Crimson(1986)←ベスト版
Vrooom [ヴルーム](1994)
Thrak [スラック](1995)
- Gt.ロバート・フリップ
- Gt.Vo.Words.エイドリアン・ブリュー
- Stick.トレイ・ガン
- Ba.Stick.トニー・レヴィン
- Dr.パット・マステロット
- Dr.ビル・ブラッフォード
The ConstruKction of Light [コンストラクション・オブ・ライト](2000)
Shoganai - Happy with What You Have to be Happy with [しょうがない](2002)
The Power to Believe [パワー・トゥ・ビリーブ](2003)
- Gt.ロバート・フリップ
- Gt.Vo.エイドリアン・ブリュー
- Ba.トレイ・ガン
- Dr.パット・マステロット
もっと詳しく知るためのリンク集
- SirMiles's Rock Cafe
- 長いクリムゾンの歴史を5期に分けてそれぞれを解説してくれている。
- Fragile Isolation Ward
- ライブ版「USA」を特にとりあげて解説している。
- King Crimson Data Base
- キング・クリムゾンとロバート・フリップのことはほぼなんでもわかる。
管理人のオススメ曲
21st Century Schizoid Man (In The Court Of The Crimson King)
21世紀の精神異常者。もう、偉大すぎてなんと説明していいかわからない。プログレといえばキング・クリムゾン、キング・クリムゾンといえば21世紀の精神異常者、21世紀の精神異常者といえばプログレ、、、というような名曲中の名曲。
俺は受験期にこれと、ピンク・フロイドのAtom Heart Mother ばっか聴いて勉強していた。よく考えたらまったく勉強に集中できなそうだけど、プログレが一番集中できたんだよなー不思議と。たぶんこんなヘンナヤツは世界広しと言えど俺以外にいないだろう。えっへん。
メロトロンによる大迫力のサウンド。重厚感。インプロビレーションの緻密さ、ダイナミクス。メインテーマのリフレインとチェンジ。
プログレ史は当たり前として、ロック史に残る名曲であることは間違いない。
I Talk To The Wind (In The Court Of The Crimson King)
はっきり言ってこのアルバムに捨て曲は存在しない。よって俺は全部をここで紹介したいのであるが、紙面の都合上(そんなものないが)ここではもう一曲とする。
「えっ?もう一曲だったらエピタフとかクリムゾン・キングの宮殿をとりあげるのが普通じゃない?」と思った人がいたら、偉い。確かにそうかもしれない。でも俺はこのI Talk To The Wind(邦題:風に語りて)のフルートが、そう、フルートが、めちゃめちゃ好きなんよ。
俺がドラムのほかに楽器やるとしたら、絶対フルートにする。かっこよすぎる。それはまぁ、ジェスロ・タルの影響もあるんだけど、フルートの音って一番心の奥まで入ってきて、じんわり感動させてくれるんだよなぁ。。。
Pictures Of A City (In The Wake Of Poseidon)
クリムゾンの2枚目って、よく駄作だとか言われてるけど、俺は全然そう思わない人なんです。確かに作りこまれ具合は1作目とか後の3作目の方があるとは思うけど、これだって、かっこよいよ?めちゃくちゃ。
誰に向かってしゃべっているのかわからないけど、俺はそう思います。
この曲はのっけからサックスのからんだメインリフがあって、「おっ、管楽器もいいな!」と最初聞いたとき俺は思いました。てかもしかしたら、俺レッドとか太陽と戦慄聞く前にコレ聞いたから、あんまクリムゾンのイメージが固まってなかったんだろうな。だから素直に「これもクリムゾンなんだー」って感じることができたのかも。2作目をあまり評価してない人たちの意見聞くと、3枚目以降のアルバムと比べて、これはクリムゾンぽくない、とか言ってるんだもん。それじゃ本末転倒だと思いません?
・・・またしても誰に向かって言ってるやら
Cat Food (In The Wake Of Poseidon)
そしてまたしても微妙なところをオススメ。この曲はピアノがとってもカッコイイ。キース・ティペットのピアノはクリムゾンのイメージと少し離れているのかもしれないけど、俺は大好きだなぁ、この狂ってる具合。
Lizard (Lizard)
このアルバムからは文句なしに表題曲を。といっても他の曲が嫌いなわけじゃない。2曲目のオーボエなどの入ったIndoor Gamesとかフルートの美しい「水の精」も好きなんだけど、、、なんといってもリザードにはジョン・アンダーソン(→イエス)の声が入っているのだ!!
やっぱりアンダーソンの声好きだわー。この人普段でもこの高い声なんだけど。たくさんの参加メンバーがいる分、この曲にはいろんなパートのソロがあって聴いていると楽しい。その間、ずっと奥のほうで頑なに鳴ってるスネアの音が好き。マニアックだなぁ、俺。
Easy Money (Larks' Tongues in Aspic)
クリムゾンのスタイルを大きく変えた「太陽と戦慄」。ロバート・フリップ以外のメンバーがまた総入れ替わりしたわけだが、その中にはなんと、イエスのビル・ブラッフォードが!
俺の尊敬する名ドラマーです。そして作られたアルバムは非常に荒々しい中に勢いをもった名盤になりましたとさ。
このイージー・マネーもそうだけど、このアルバム、非常に変な音がたくさん入っている。クリムゾン好きならもうわかったであろう。そう、パーカッショニスト、ジェイミー・ミュアーの才能がこれなのである。とっても耳に残り、そして不思議と曲の一部をなす奇妙なパーカッション。まさに奇才。ほんと、聴いているとたまに笑いそうになるので、是非この感覚を味わって欲しい。
Larks' Tongues in Aspic, Part Two (Larks' Tongues in Aspic)
邦題:太陽と戦慄、パート2。
このアルバムは、太陽と戦慄のパート1とパート2にはさまれた構成になっているのだが、俺はこのパート2のブラッフォードのドラミングがすごく好きでいつかこんなドラムがたたけるようになれば・・・とひそかに思っているわけでございます。
The Great Deceiver (Starless and Bible Black)
暗黒の世界の1曲目、俺もここらへんのアルバムはあまり普段聴かないので、どうしても1曲目のイメージが強いのだが、この曲は、梅津和時というSAX奏者のバンド、「梅津和時KIKIバンド」の楽曲に非常に似ているという印象がある。ま、あきらかに梅津さんたちのほうがクリムゾンに影響されてる訳ですが、俺としては聞いた順番が逆になってしまった。
ビオラを使った力強いメインリフとパワーみなぎるリズムが大好き。あ、でもこのアルバム、全体としてはインプロヴィゼーション面の方が強いアルバムなのね。にしてもウェットンの声はかっこよい。
Red (Red)
キング・クリムゾンのファンからすれば、この曲こそがクリムゾンである。
ここにきてクリムゾンの世界がまとまり、完結し、そしてクリムゾンはこのアルバムで終わったと考える人が少なくないが、それには非常にうなずける。
実際メンバーはついに3人にまで減少してしまったし、アルバム製作に対して今までクリムゾンにたずさわってきた人たちがゲスト参加するなんて、本当にラストを飾るとしたら申し分ないストーリーだと思う。
そしてこのアルバムは本当に捨て曲のない名盤である。1枚目の「宮殿」とこの「レッド」を聴かずして、プログレも、そして「ロック」すら語れないと勝手に考えてしまう、我こそはプログレオタクなのであった。
(2006.4.8 kota)