Emerson, Lake & Palmer /
エマーソン、レイク&パーマー

バンド紹介

emerson,lake & palmer


プログレッシヴ・ロックを語る上で絶対にはずせない偉大なスーパー・グループ、それがエマーソン・レイク・アンド・パーマー(以降EL&Pと略す)である。EL&Pほど有名なキーボードトリオが他にあるだろうか。

メンバーのファミリーネームをそれぞれとって付けられたこのバンド名。しかしそれが逆に意味することは、結成当時に既にそのそれぞれの名前がある程度知られていたことを指しているのだ。

キーボードのキース・エマーソンは、ザ・ナイスというバンドで活躍していたプレイヤー。クラシックをロック風にアレンジしたり、その当時まだ珍しかったシンセサイザーを自在に操っていたことですでに一部で有名であったはずである。EL&Pでもリーダー的な存在感で、クラシックのアレンジについて更に深みを増していった。

ベースとヴォーカルを務めるのは、ご存知、グレッグ・レイク。え?知らない?ということは、キング・クリムゾンも知らないのでしょうか?グレッグ・レイクは、あの有名なアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」を含め、キング・クリムゾン初期のヴォーカル兼ベースだった、超有名人なのです。ちょっと想像してみてください。それだけ有名な人が別のバンドに入ったと聞いたら、どう思いますか?凄く気になりますよね。そしてそれが、また凄いバンドだったら???

それが、EL&Pだったわけです。実際に、最初の2年間に出した3枚のアルバム(「エマーソン、レイク&パーマー」「タルカス」「展覧会の絵」)は、バカ売れしたらしいです。

ちょっと話が飛びましたが、ドラマーはカール・パーマーという人で、EL&Pに誘われたことでアトミック・ルースターというバンドを、作ってそうそう脱退したみたいです。彼のドラミングの持ち味は、ずばりキックのシングル一つ打ちのスピードにあるかと思います。かなりのスピードでバスドラを片足で踏みながら、自由自在に両手で手数の多い変則的なリズムをたたくので、コピーするのが非常に困難です(俺が出来ないだけかもしれないけどさ・・・)。

クラシック好きだけどロックはちょっと聴かないなぁ・・・っていう人、ロック好きでクラシックもそこそこ好きな人、プログレ好きな人、キーボードやってる人、このような方々はEL&Pを聴かないのは勿体無い!

プログレ界の一角を担う、このスーパー・グループのアンサンブルにとくと酔いしれて欲しい。

メンバー

キーボード ヴォーカル、ベース ドラム
キース・エマーソン グレッグ・レイク カール・パーマー

ディスコグラフィー

  • <前期EL&P>
  • Emerson, Lake And Palmer [エマーソン・レイク&パーマー](1970)
  • Tarkus [タルカス](1971)
  • Pictures At An Exhibition [展覧会の絵](1971)←ライヴ盤
  • Trilogy [トリロジー](1972)
  • Brain Salad Surgery [恐怖の頭脳改革](1973)
  • Welcome Back My Friends To The Show That Never Ends....Ladys And Gentleman [レディース・アンド・ジェントルメン](1974)←ライヴ盤
  • <後期EL&P>
  • Works Volume I [ELP四部作](1977)
  • Works Volume II [作品第2番](1977)
  • Love Beach [ラヴ・ビーチ](1978)
  • In Concert [イン・コンサート](1979)
  • <エマーソン・レイク&パウエル>
  • Emerson, Lake And Powell [エマーソン・レイク&パウエル](1986)
    ↑Ds.にコージー・パウエルを迎えて出来た新ユニット
  • <3(スリー)>
  • 3...To The Power Of Three [スリー・トゥ・ザ・パワー](1988)
    ↑Vo.Ba.ロバート・ベリー

もっと詳しく知るためのリンク集

管理人のオススメ曲

The Barbarian (Emerson, Lake And Palmer)

彼らのファーストアルバムの1曲目、まさにその後の活躍の第一歩とも言えるこの曲は、本当にEL&Pらしい1曲ともいえるだろう。

グレッグ・レイクの歪んだベースラインに手数足数の多いドラム、そしてキース・エマーソンのオルガンが響き渡る。中間にはクラシック的要素を多分に含んだEL&Pらしい盛り上がりを見せ、怒涛のピアノソロからさらに迫力を増したラストまで、息を付けない展開だ。


Knife Edge (Emerson, Lake And Palmer)

イントロのハイハットにディレイがかかっているのが、なんともカッコイイこの曲。イントロのベースラインはそのまま主題にもなっていて、何度も何度も形を変えて後半で現れてくる。

キース・エマーソンのオルガンの音は、今の時代になっても未だ異彩を放っていると個人的には感じる。なんというか、、、「心地よく刺さる」音なのだ。キース・エマーソンといえばシンセサイザー、という考え方が主流かもしれないが、実はこのアルバムではまだシンセサイザーは多用されていない。ムーグ・シンセサイザーが多く使われるようになったのは、展覧会の絵のライヴやトリロジーといったもう少し後の作品からである。


Tank (Emerson, Lake And Palmer)

ぶっちゃけ、ドラムのソロ曲。曲の中間部をすべてドラムソロが占める。カール・パーマーのドラムがどんなものか知るのには最適な曲。

とにかく早い手の一つ打ち、足の一つ打ち。ボンゾ(→レッド・ツェッペリン)やミッチ・ミッチェル(→ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンス)のソロに匹敵する力強さとスピード。それに加えてキース・エマーソンが音を加工したりすることによって奥深い構成のドラムソロになっている。飽きないドラムソロをやる人ってのは、凄い、よね。


Tarkus (Tarkus)

これよ、これ。ぜひ皆さんに一度は聞いてみてもらいたいプログレ界の超有名曲の一つ。

1曲で20分40秒もあるこの曲、クラシックのように全7場面からなる組曲として作られている。

a)Erupution(噴火), b)Stones Of Years(ストーンズ・オブ・イヤーズ), c)Iconoclast(アイコノクラスト), d)Mass(ミサ聖祭), e)Manticore(マンティコア), f)Battlefield(戦場), g)Aquatarkus(アクアタルカス) の7場面なのだが、主題は冒頭の「噴火」で出てくる5/4拍子のリフであるが、これは「ストーンズ・オブ・イヤーズ」でのグレッグ・レイクの叙情的なヴォーカルの場面をとばして、「アイコロニスト」でもまた現れてくるし、さらにまたグレッグが歌う「ミサ聖祭」の部分を飛ばして「マンティコア」でも現れてくる。

そして、最終的には最後の「アクアタルカス」で再びその主題が現れて組曲として完成するのであるが、いま飛ばした部分、そう、「戦場」という部分がkotaが個人的に好きだったりする部分なのである。カール・パーマーが「ウタタウタタ」をやるのもこの部分だし。なんといっても荘厳なキーボードの上に、EL&Pでは珍しくギターソロが入ってくる(しかも2本!)のが聴き所である。

そして最終場面「アクアタルカス」はそれを引き継いで、戦場に出かけていった兵士が行進しているかのような情景が出てくる。その後、銅鑼(どら)の「グォォォン」という音が鳴ったら、そこから先はこの組曲のラストシーンである。まるでFFの戦闘シーンであるかのような音楽が鳴り(というか、個人的にFFの音楽を作っている人たちはEL&Pの影響を非常に受けていると感じざるを得ない)、今までにも何度かあった「終わりそうな」部分よりも「もっと終わりそうな」感じになり、やっと、終わる。

そして、不思議な余韻が残る。プログレってすげぇ、と思う。


Are You Ready Eddy? (Tarkus)

正直、初めてこの曲を聴いた時、「うそつき、、、」と緒川たまき風につぶやきたくなった。というのは嘘だが、これもタルカスのアルバムに入っている曲なのに、どう考えても同じアルバムに入っている曲とは思えない。ストレイキャッツかのようなロカビリーなのだ。めちゃくちゃ明るいし、シンプル。そしてピアノソロは、絶対キース・エマーソンは遊んでるとしか思えない。

でも結構好きだから紹介してみた。


Promenade (Pictures At An Exhibition)

この「展覧会の絵」というライブ音源は、1971年にニューキャッスル・シティ・ホールで録音されたものだが、同名のムソルグスキーのピアノ曲を大胆にバンドアレンジしたものとして、非常に画期的であり、とても売れたアルバムである。

しかし本当はこのアルバムはメンバーは出したくなかった、というのも有名な話である。でも海賊版が流れてしまったために、仕方なくリリースすることとなったのだとか。結局そのおかげでEL&Pの知名度はさらに上がったわけだが。

「プロムナード」はこのアルバムで1曲目、3曲目、7曲目、と3回入っているのだが、誰もが一度は聞いたことがある「展覧会の絵」の主題が演奏されている。1回目はキース・エマーソンのパイプ・オルガンによる主題の披露、2回目はなんとその主題のメロディにグレッグ・レイクが歌詞を付けて歌っている。本当にこの人の声は綺麗である。そして3回目はキーボ、ドラム、ベースのバンドスタイルによるアレンジでまた主題が演奏される。


The Great Gates Of Kiev - The End (Pictures At An Exhibition)

このアルバムは完全なコンセプトアルバム兼ライブアルバムであるからして、どの曲が特によい、、、という言い方はあまりしたくない。この「キエフの大門」を取り上げたのは、とにかくこの曲に向かって全ての楽曲が進んできていると思えるほどの、大曲だからである。

グレッグ・レイクの歌(もちろん原曲のクラシックにはないだろう)と、中間部のトンデモナイ音(オルガンのフィードバック!?)、そしてエンディングのカッコよさ!そりゃあ、こんだけ歓声もわくさ!見に行きたかったなぁ〜あと何年早く生まれてればよかったやら(笑)


Nutrocker (Pictures At An Exhibition)

アンコールで行われたのだろうか、この曲はムソルグスキーではなく、チャイコフスキーの「くるみ割り人形」をアレンジしたものである。これもカッコいいんだわ、これが。


From The Beginning (Trilogy)

グレッグ・レイクによるアコースティック・ギター弾き語りの曲。グレッグ・レイクの多才ぶりがわかる一曲だ。


Hoedown (Trilogy)

この曲もEL&Pの中で有名な曲の一つであろう。これはアメリカの作曲家アーロン・コープランドの作ったバレエ音楽「ロデオ」の中の「ホーダウン」のエマーソン流アレンジであるが、kotaは原曲の方を聴いたことがないので詳しくはわかりません。

ムーグ・シンセサイザーを使ったわかりやすいリフと、シンプルなユニゾンとが交錯している。


Trilogy (Trilogy)

一応このアルバムの表題曲も紹介しておく。これもタルカスと同様、主題が4/5拍子で構成されているが、タルカスほど構成に無理がなく聞きやすくなじみやすい曲になっていると思われる。しかしEL&Pのコアなファンからの評価はあまり高くないのではないだろうか。


Jerusalem (Brain Salad Surgery)

邦題「聖地エルサレム」。EL&Pの最高傑作といわれることの多いこの「恐怖の頭脳改革」というアルバムの1曲目であるこの曲は、もとは賛美歌であったものらしいが、これもエマーソンの巧みなアレンジにより紛れもないEL&Pサウンドへと変貌を遂げている。


Karn Evil 9 (Brain Salad Surgery)

しかし、kotaはこのアルバムが最高傑作といわれるゆえんが未だにつかめていないところがある。おそらく、この組曲「悪の教典#9」がこのアルバムを不動の1枚にしているのではないか、という勝手な憶測の下、紹介させてもらうことにする。

この組曲はタルカスをも超える29分40秒の大作であるが、タルカスと比べるとやはりEL&Pというバンドの熟成を感じる。タルカスで少し感じられる無茶苦茶な構成を感じることはこちらではほとんどないし、それぞれが遺憾なく自分の仕事をきっちりこなしている感が強い。

でもその裏返しなのだろうか、俺にはタルカスほどの強い印象をこの組曲から受けることがないのである。タルカスのあのギリギリ感、次に何がくるか予想だにしない怒涛の展開が好きだったのだ。というわけで、、、俺の紹介はここまでにしよう。他のEL&Pファンが書いてる紹介文を探したりしてください。よっぽど上手く書いてるから。


Fanfare For The Common Man (Works Volume 1)

最後にもう一つ紹介しておきたい曲がある。この曲「邦題:庶民のファンファーレ」は、kotaが初めて聴いたEL&Pの曲なのである。スターダストレビューのボーカル、根本要が行っていたテレビ音楽番組でEL&Pが取り上げられた時にかかった曲が、この庶民のファンファーレだったからなのだが、そのときの衝撃は凄かった。

確か雪山の中のステージで、この曲を演奏している、、、というようなPV(ライブ映像だったかな?)が放映されていたのだが、「ドンドドンド・・・」というシンプルなリズムにカッコイイオルガンのソロを聴いたとたん耳から離れなくなり、TSUTAYAに次の日借りに行った、という記憶がある。

これも原曲はアーロン・コープランドの曲で、やはりクラシックのアレンジであったのだが、キース・エマーソンの長時間のソロの間ずっと同じことをやり続けるグレッグ・レイクとカール・パーマーの忍耐力に拍手を送りたい。

(2006.4.24 kota)

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