The Mars Volta / マーズ・ヴォルタ

バンド紹介

the mars volta


「マーズ・ヴォルタ」、凄い奴らが現れた。

濃厚な音圧、プログレッシブな曲、力強さ。マーズ・ヴォルタの楽曲は、70年代のハードロックの泥臭さとプログレッシブ・ロックの気持ち悪さを足した上に、現代にしかない音作りや技巧などをスパイスにしてミキサーでかき回したようなものである。

01年に解散したアット・ザ・ドライブ・インのオマーとセドリックによって結成された。同じアット・ザ・ドライブ・インからはもう一つ、スパルタというバンドも結成されているがそれはまた別のお話としよう。

俺が今現在一番注目し、大好きなバンドがこのマーズ・ヴォルタである。来日するたびに出かけて行っては窒息寸前になるまで狂熱の会場で押し合いへし合いするのである。

ボーカル、セドリックのとんでもない高音の声は、まるでロバート・プラント(→レッド・ツェッペリン)のようであり、ライブで見せるマイクアクションはとにかくカッコイイ。何度もマイクを宙に投げるのだが、歌いだす直前にはセドリックの手中に収まっているのである。あと、05年のFUJIROCKではマイクスタンドを床に思い切りたたき付けぶっ壊すというパフォーマンスも見せてくれた。とにかく見ごたえのあるボーカリストである。

ギタリスト、オマーの持ってくるエフェクターの数には苦笑いするしかない。ゆうに50個は転がるエフェクター類を使いこなし、背面弾きなどのパフォーマンスも見せてくれる。セドリックとオマーは共にアフロなのだが、そのスタイルに妙にマッチする南米っぽい踊り(僕らの間ではセドリック・ダンスと呼ばれている・笑)を踊りながらオマーはギターを弾くのである。時にはギターを背中側に回してしまって、弾くことをやめ(でもなんともいえない音は鳴ったまま)手を大きくアタマの上でたたきながら踊るのである。

そして、なんといっても、ジョン・セオドアは天才ドラマーである。怪物のような図体で、とんでもなく難しいフレーズを豪快にきめてくるところがやばい。エイトビートをこれほどにエイトビートっぽくなく豪快にたたけるドラマーを俺は他に観たことがない。スティーブ・ガッドなどのように拍の刻み方、拍子のとり方などを理論的に進めるドラマーとは完全に対照的に、ほぼ天性のカンで爆発的にインプロヴィゼーションをたたく姿には圧巻である。

キーボーディスト、アイキーはスティービー・ワンダーのようなおっちゃんで、ハモンドとキーボを上下に重ねてトリッキーに弾く。セドリックはたまに、そのハモンドオルガンの上に置かれたキーボードのさらに上に飛び乗ったりする。とんでもないことをするもんだ。

ベーシスト、ホアンは一人だけあまり目立とうとせず、ドラムの左横にぴったりついてほとんど動かずにいるのだがこれも面白い。うわさによると、元レーサーXのベーシストであったらしい。しかしベースに関しては1st albumのレコーディングはレッド・ホット・チリ・ペッパーズのFleaが参加したりしている。Fleaは何故か2枚目ではベースではなくトランペットでの参加をしているのも興味深い。

とにかく、俺みたいなオールド・ハードロック好きで、プログレ好きな人間にとって、マーズ・ヴォルタ以上に興味を持てるバンドは現在ない。それほど凄い。是非みなさんにも聴いてみてもらいたい。

メンバー

  • Vo.セドリック・ビクスラー
  • Gt.オマー・ロドリゲス
  • Ba.ジェレミー・マイケル・ワード ⇒ ホアン・アルデレッテ
  • Ds.ジョン・セオドア
  • Key.アイキー・オーウェンズ
  • Perc.マルセル・ロドリゲス
  • etc...
    • フリー(ベース)←2ndではトランペットで参加、
    • ジョン・フルシアンテ(ギター)、
    • ラリー・ハーロウ(ピアノ)、
    • レニー・カストロ(パーカッション)、
    • エイドリアン・テラザス(サックス&フルート)

ディスコグラフィー

  • tremurant(2002.4)
  • de-loused in the comatorium(2003.6)←1st
  • the mars volta live(2003.7)
  • inertiatic esp [Single](2003)
  • televators [Single](2004)
  • frances the mute(2005.3)←2nd

もっと詳しく知るためのリンク集

管理人のオススメ曲

inertiatic esp (de-loused in the comatorium)

はっきりいって、もう、「全部聴いてくれ!」と叫びたいのだ。アルバムを聴いていて、この曲は飛ばしちゃおう、とかって普通はあるのに、マーズ・ヴォルタのアルバムは全くそういうことがないのだ。。。

2曲目のこの曲は、1曲目とつながっているので事実上アルバムの最初の曲なのだが、もう、、、やばい。セドリックの独特な迫力のボーカルと、リズム隊の強烈なインパクト、オマーのギターとハモンドオルガンによる世界観が混ざりあって、これでもか!と押し寄せてくる。

このイナシアティックは何故かいつもライブではやってくれない。すごく昔のライブ(日本でデビューアルバムを出す前)ではやってたみたいだけれども。


roulette dares(the haunt of) (de-loused in the comatorium)

というわけでライブではこの曲が最初にくる。緩急の差がとても激しく、最後の方はキング・クリムゾンやらピンク・フロイドといった昔のプログレを聞いているような感覚に襲われる。


drunkship of lanterns (de-oused in the comatorium)

アフロなリズムを崩していくとこうなるのか、という曲。というか、ほんとにキメのリズムの一つ一つがめちゃくちゃかっこいい。ドラムのセオドアは本当に天才だ。普通の8拍子のリズムを、こんなにかっこよく、いかにも変拍子であるかのように錯覚させるフレーズを考え出せるなんて。


cicatriz esp (de-loused in the comatorium)

この曲はライブでの定番。後半部分がとんでもないインストゥラメンタルとなって、いつも20分くらいこの曲は続く。曲の途中でヘリコプターかなんかが飛んでくる音がするのだが、そのあといきなり来るサビでは、その迫力から鳥肌がゾワーーーっと立つ。


take the veil cerpin taxt (de-loused in the comatorium)

アルバムの最後を飾るこの曲。これは、歴史に残る曲だと個人的には思う。てか既にもう歴史を作ってるんじゃないか、くらいだと思う。ここまで嫌と言うほどの素晴らしい曲ぞろいだったアルバムなのに、ここにきてまたとんでもないものを聴かせてくれる。中間部、絶対に拍のとれないところがあって、自分がライブでやった時には、ギターの人に無理やり合わせることでしのいだ。。。誰か、何拍子のどういうリズムなのかわかる人がいたら連絡ください。


cygnus....vismund cygnus (frances the mute)

2枚目の1曲目を飾るこの曲。ライブ会場でワクワクしながらセカンドアルバムを買い、家に帰ってコンポに入れてすぐに流れてきたこの曲。

ヤバイ、カッコイイ。

相変わらずオマーはとんでもない音で、独特のリズム感をもったリフを弾いているし、ドラムは爆発しちゃってるし、セドリックはカッコイイし。。。

しかも最初の曲のくせに13分もあるのね・・・(笑)それは中間部に17/16(5/16 + 8/16 + 4/16)なんていう変な拍子のインプロヴィゼーションが長時間入っているからなのだが、実はこのリズム、俺は聴いたときに何かピンとくるものがあった。

そう、実はこの17/16のフレーズは、今までマーズ・ヴォルタが来日してライブをしている時に、何回かジャムで使っていたフレーズだったのである。つまり、今までライブで使っていたお決まりのフレーズを、曲の中に組み込んできたということになる。

そしてこのインプロヴィゼーションを経てまたヴォーカルが入ってきて、ラストに向けて最大限に盛り上がるところですかさず、「ブレイク」。

毎度のことながら、マーズ・ヴォルタのブレイクは非常にかっこよくて、思わず鳥肌がたつのである。壮絶。


(2006.4.8 kota)

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